杉並区立科学館の情報のまとめ

杉並あたりの人々に半世紀ちかく愛されてきた「科学館」の情報を、今後の存続問題を中心にまとめていきます。ときどき、科学・宇宙・自然の情報もまぜていきます。みなさま、どうぞよろしく☆

杉並区議会に提出中、1623人分の署名簿と陳情書「杉並区立科学館に関する陳情」

【緊急掲載】 杉並区の区立施設再編整備計画の第1歩として廃止が議論されている「科学館」ですが、「子どもたちを科学館で学ばせて」と存続を訴えてきた《杉並の理科教育を考える会》では、1623人分の署名簿と陳情書を、杉並区議会に対して提出してある、とのことです。

参考 《杉並の理科教育を考える会》実施の区議選立候補予定者への公開質問「杉並区立科学館に関する公開質問状」回答結果

9月10日に、杉並区議会議長宛に提出され受理された陳情書は、科学館の存続を要望するものでした。しかし、現在も開催中の杉並区議会では、その訴えはまだ議題として取り上げられていません。

区議会では文教委員会が今日 11月30日に開かれ、科学館廃止の正式な議論(?)が行われ、最終的には12月8日の本会議で議決される見通しです。

このままでは、議論されるよりも前に科学館廃止が決定され、陳情と1623人の願いが結果的に無視されることになってしまいます。

 

陳情書の全文(趣旨・理由)を掲載します (「杉並の理科教育を考える会」の方から掲載のご提案をいただきました)

 

平成27年9月10日  杉並区議会議長 殿

杉並区立科学館に関する陳情  杉並の理科教育を考える会

陳情の趣旨  

杉並区立科学館を閉館しないで子どもたちを学ばせて下さい。

理由

 ①科学館を閉館するという方針は、区民に十分な周知が行われたとはとても言えない状況であり、理科授業を受ける子どもたちや保護者の理解も得ていない。

 ほとんどの区民が、区の方針を理解しないうちに施設再編計画が決定され、計画が進められています。区民への周知はあまりにも不十分です。

 とくに施設再編計画決定の過程でH25年度に配布された「広報すぎなみ」の特集号など区民向けの広報では、科学館の廃止については記述されておらず、区民の大半が科学館の廃止方針を知らないまま再編計画が決定されてしまいました。

 さらに、施設再編計画がスタートしたH26年度(昨年度)になっても積極的な情報提供は行われず、小・中学校に通う子どもたちやその保護者にも、科学館廃止の方針とそれに1年先立つ理科授業の打ち切りが知らされなかったことから、今年度になってから、科学館の理科授業が打ち切られたことを、突然に知った子どもたちと保護者がほとんどです。

②科学館に代わって、今年度から済美教育センターによって実施されている出前授業は非常に限られた単元しか取り扱わない、子どもたちの理科学習にとって不十分なものになってしまった。

 昨年度まで、子どもたちが受けてきた科学館の理科授業「理科移動教室」は、小学1年~中学3年の9年間を通じて、(学校ではカバーしきれない)理科の実験・観察を行うことで、理科学習をより深く理解し、実験・観察技能を身につけるようにカリキュラムが組まれていました。それに対して今年度からの出前授業では、天文分野では小学1、2、3、5年と中学をカットして小学4、6年のみの実施であり、理科実験授業でも小学1、2年は完全にカットし他の学年も対応できる単元が大幅に削減されしまいました。

③科学館が45年間にわたり開発してきたカリキュラムやノウハウ、及び様々な理科実験器具・資料は、区民の貴重な財産であり、それらの継承や保存が十分に計画されているとは言いがたい状況である。

 科学館の理科指導員と小・中学校教諭が連携、開発、改良してきた理科授業のカリキュラム、理科教育に関する調査研究成果や様々なノウハウ、及び様々な理科実験器具・資料は、区民の貴重な財産です。また、科学館に各地の理科教育関係者が頻繁に視察が訪れていたことからわかるように、科学館の知的財産は杉並区が全国に誇るべき資産です。

 科学館に比べて理科に関するスペースが小規模で、取り扱う理科の内容も縮小している済美教育センターが、これらの資産を継承することは明らかに不可能です。また構想段階として検討されている新しい科学教育普及の拠点に関しても現時点で具体性は皆無であり、科学館の資産を断絶せずに引き継げるものではありません。

 

以上から、現在進められている科学館の廃止方針及び済美教育センターの出張理科授業では、杉並区の理科教育のレベルの維持は不可能であり、杉並の子どもたちに今まで通りあるいはそれ以上の理科教育を提供できるものではないと結論できます。これは、実際に今年度、済美教育センターが実施している事業内容を見ても明白です。